2009年9月25日金曜日

9/25 ダンサーズ・ドリーム vol.2「ライモンダ(Raymonda)」

 
今日はパリ・オペラ座のDVDを紹介します。先日このブログでも紹介したもの。 → こちらから
アマゾンの内容紹介は以下になります
★本商品は2003年発売のダンサーズ・ドリーム vol.1「眠れる森の美女」、vol.2「ライモンダ」、vol.3「ロミオとジュリエット」、vol.4「ラ・バヤデール」をBOXに収納し、大幅にプライスダウンした『ベストバリュー版』です★
ヌレエフ作品の数々をエトワールたちがひもとくドキュメンタリー
 世界最高峰のバレエ団、パリ・オペラ座バレエに偉大なダンサー/振付家ルドルフ・ヌレエフが振り付けたバレエ「眠れる森の美女」「ライモンダ」「ロミオとジュリエット」「ラ・バヤデール」。これらの名作の真髄をオペラ座の代表的なエトワールたちが解き明かすという、ユニークかつ贅沢なドキュメンタリー。舞台映像はもちろん、通常見ることのできない貴重なリハーサル、エトワールへのインタビューなどを通じて、解釈、振付、作品の歴史などを分かりやすく多面的に紹介。鑑賞の手助けとなるとともに、バレエへの理解を一層深められる内容となっています。

vol.1 眠れる森の美女
  出演 エリザベット・プラテル、マニュエル・ルグリ ほか // 1999年収録 88分
vol.2 ライモンダ
  出演 ルドルフ・ヌレエフ、エリザベット・プラテル、シャルル・ジュド、ローラン・イレール ほか // 1999年収録 83分
vol.3 ロミオとジュリエット
  出演 エリザベット・モーラン、マニュエル・ルグリ、カデル・ベラルビ ほか // 1999年収録 89分
vol.4 ラ・バヤデール
  出演 イザベル・ゲラン、エリザベット・プラテル、ローラン・イレール ほか // 2002年収録 101分
4巻セット 全プログラム6時間1分
DVD/COLOR/ドルビーデジタル・STEREO/片面1層/16:9/日本語字幕付(一部吹替)


今日は大好きな「ライモンダ」を書き事にしました。画像の数も少し多くなってしまい、また散らかった流れになっています。このダンサーズ・ドリームを見てると、本編も必ず見たくなるのですが、残念ながら、「ライモンダ」だけありません。ほかの「眠れる森の美女」「ロミオとジュリエット」「ラ・バヤデール」は発売されているのですが、なぜ・・って気持ちになります。本当に発売されていないのが残念でなりません。
POBでは、本年度(昨年 2008/12)の演目になっていたと記憶していますが、そのDVDでも出てくれたら良いのに♪ って勝手なことを思いつつ・・・・

インタビュー形式での始まり♪
ヌレエフへ「まだしてない事は?」の質問に対して、「怠ける事かな?」と返します。とても可愛い(って言っちゃ余りにも失礼ですが)感じがします。1983年9月就任後、シーズン最初の演目が「ライモンダ」です。エリザベット・プラテルは、そうヌレエフ版初代ライモンダだったのです。(またも)



 写真は1982年フランス文化省から「オペラ座総監督」に選ばれた連絡を受けた時のインタビュー時(亡命を実施できたのもパリ)オペラ座は彼をフランスの滞在を条件としていたが、世界中からの渇望により交渉は難航したのだが、結局はオペラ座が折れた形で決着となった。もちろんオペラ座はヌレエフを必要としていたし、彼もまたオペラ座で力を発揮出来る事を待ち望んでいた感がある。
ヌレエフはオペラ座に対して、本当に率直な意見を呈している。「私はドクター」であるの言葉にも裏打されているように、待遇改善を感じ取っていた。”新しい講師陣と、新しい演目"っと言い切っている。もちろんその年就任したるフェーブルも”絶対に逃せません”と。


マリウス・プティパ「最後の傑作・ライモンダ」全幕はフランス初演。なんとレッスンは外? 


 1964年イタリア、スポレットでイギリス・ロイヤルバレエ団が初演しました。バランシンは1935年頃に挑戦しているものの、バレエ・リュスでは全幕からの抜粋で有る事、それを繋ぎ合せて上演している。だが失敗に終わっている。多くのソリストと技術を必要とする「ライモンダ」は特別な演目であり、上演できるのは、オペラ座だけである・・と、ヌレエフ。

そこでwikiで調べてみると・・
有名なものを挙げると、
   ミハイル・フォーキン版 バレエ・リュスによるもの(1909年)
   アンナ・パヴロワと彼女のバレエ団によるもの(1914年)
   ジョージ・バランシンとアレクサンドラ・ダニロワ率いるバレエ・リュス・ド・モンテカルロによるもの(1946年)、
   コンスタンチン・セルゲーエフとキーロフ・バレエによるもの(1948年)
   アメリカン・バレエ・シアターによるもの(1975年)
   ★ルドルフ・ヌレエフ版 パリ・オペラ・バレエによるもの(1983年)
   ユーリー・グリゴローヴィチ版 ボリショイ・バレエ団によるもの(1984年)
   アンナ=マリー・ホームズ版(二幕に改訂されている)のフィンランド国立バレエ団によるもの(2004年) およびこの改訂版のアメリカン・バレエ・シアター(2004年)
   オランダ国立バレエ団によるもの(2005年)
などがある。と言うことである。

これは、バスティーユです。


 ラ・バヤデール、マンフレット、ドン・キホーテに続き、これが4作目で念願の「ライモンダ」の振付を開始できた。この時の衣装デザインはニコラス・ジョージ・アリス(オペラ座では有名。衣装の再現を全て完結した様です)。


エリザベット・プラテルとパトリス・バールのインタビュー(彼の激しさ故の内容ですね)


 初演時にライモンダ(タイトルロール)はプラテルとファニー・ガイダ。ガイダはコール・ドからの大抜擢であった。彼が来たお陰で、”目標がはっきりした”という事を言っているのは、たぶんガイダだけでは無いのでしょう。



この方も・・ ルグリはそれまでのオペラ座のダンサーを役人と言っています。ジュドはヌレエフに”外へ出ろ”って言われ、話に乗ったものの、”僕が来たからここに居ろ”って・・まるで身勝手! (って言うよりやはりカリスマです)。ルフェーブル曰く、ヌレエフは世代交代を見越しており、ヌレエフ世代と言われるエトワール達を発掘している。


 初演ファーストキャストはポントワ(ミテキのママですね)とヌレエフだったが、ヌレエフが怪我をしてので、ジュドとプラテルが射止めた。(素敵な若かりし頃のジュドの絵です)。 レッスンではエトワールが勢ぞろいし、今までの風景とは一変してた事の思い出。慣例ではエトワールは個別のスタジオで練習し最後に合せる・・という形が、「ライモンダ」では、最初からコール・ド・バレエと共にグループ練習。エトワールが失敗しても恥ずかしがっている暇もない位に猛練習の日々が続いていた様です。エトワール達が語ります。


以前とは違う、エトワールの苦悩がそれぞれ語られます



ヌレエフが赤い靴で、ライモンダのヴァリエーションを踊っています



クレール&マリ=クロード クレールはすっかり先生です 


とにかくこの調子で超一流のエトワール達が思い出を話します
でもプラテルのこの言葉が印象的です。「おかげで、どんな難しいテクニックも平気になった。」と。



(1983年の初演時に、ヌレエフに懇願されヒロインの叔母役を演じた)
1998年、オペラ座は「ライモンダ」の再演。名花イヴェット・ショビレへオマージュを捧げた(デフィレでも素敵ですね)




2回目のNY公演で、今夜ブリエンヌを踊れ・・と言われ、容赦なしの命令でチャンスを掴んだルグリも立派です。なんとも嬉しそうなヌレエフです。(思いついたのですね♪)エトワール・ヴュルピアン&(たぶんスジェの)ルグリの「ライモンダ」は少し見たい気がしますね
なんともヌレエフの言葉が重い!


バレエ歴史家 マルティヌ・カーン
マリウス・プティパ → パニコラ・ルガ → アレクサンドロ・プーシキン
ヌレエフはプーシキンに師事しているが、その血統は脈々と受け継がれていますが、プラテルはこう言っています「プティパはフランス・バレエをロシアに伝えた」と・・・。とっても複雑ですし、文化圏の問題として語る場合、主体が何かまたは何処かで違いますね♪ そのヌレエフがオペラ座に持ち込んだ物、それが重要なのでしょうね


ジョゼは何を踊ってもノーブル(好き嫌いはあるものの得意分野としては素晴らしいですね)

ロモリは流石のラセンの騎士・アブデラーマン。志願したが、若いと言われ見送られたジュド(結局は勝ち取った様だ)。天性の素質でしょうか、やっぱりイレールが最高です。(この版では4つのヴァリがあるそうです)ジャン・ギゼリクスの見事なアブデラーマン(何処を切り取っても鮮明な画像が取れません)。 



プログラムは初演当時の物

グラズノフを語るアニシモフ。(インタビューの内容が凄いです)
この楽曲はチャイコフスキー風に。白鳥の湖のファンタジーと、眠れる森の美女の魔法を取り入れた優秀な台本が必要ですが、これは新聞社の特派員のリディー・パシコフ(?)が創作したそうです。これはやはりライモンダを巡る三角関係(今も昔もやっぱりヒットストーリーです)。この2つとプティパの振付でマリインスキーでの結果は大成功となります。またオペラ座の「ライモンダ」で”白い貴婦人”が登場する事を初めて知りましたが、これは本々、イギリスのウォルター・スコット(Sir Walter Scot)の作品から引用したそうです。





 ヌレエフ版「ライモンダ」は公演当初、カナール・アンシェネ紙で酷評だったそうです。特に十字軍の戦い(ナポリの人形劇のよう)に・・・”くだらない”と。たぶん、ジョゼとイレールだと思いますが、プラテルによると”大喜び”だそうです。また幕毎に、色彩が変わる「ライモンダ」はニコラス・ジョージアディスを苦しめてた様です。特に妥協をしないヌレエフはもう大変。第1幕はフランス風、第2幕はオリエンタル風、第3幕はハンガリー風という中で統一感を出す・・っという具合。 圧倒的なスケール感で表現されるアブデラーマンの求婚シーン。アブデラーマンに対する思い入れの強さを感じずにはいれません。







 ライモンダのピアノソロのヴァリエーションです。オペラ座は手を打ち鳴らします。(アニシモフも絶賛しています)”はっ”っとする様なプラテルの美しい




 このワルツは、直接ヌレエフがコール・ドへ振付けたもの。オペラ座へのオマージュとプラテルは言います。本当に美しい色彩と美しい”パ”は完璧。

最後にルグリの言葉を紹介したいと思います
「ヌレエフの振付は何処が良いのか」・・と言う質問に対して
「振付された”ダンサー”は。踊りがそうなる理由がよく分るんだ」と言っています。